不労所得の確定申告|株と不動産で申告してきた私が伝えたい3つのルール

不労所得の確定申告

不労所得というと「何もしなくても入ってくるお金」というイメージがありますが、税金の手続きまで何もしなくていいわけではありません。株の売却益、配当、家賃収入。どれも、状況によっては確定申告が必要になります。

結論から言うと、不労所得の確定申告で押さえたいのは、所得の種類ごとに税金の扱いが違うこと、そして「知っていれば損をしなかった」ルールがいくつかあることです。私は2011年から株式投資を続け、毎年自分で確定申告をしてきました。2016〜2017年ごろには不動産投資で青色申告もしています。その中で、株の損失の繰越に期限があること、配当は申告方法を選べること、青色申告の控除額は規模で変わることを、身をもって知りました。

この記事では、国税庁の説明(令和8年4月1日現在の法令等)をもとに、私の実体験を交えてまとめます。税金の計算は人によって大きく変わるので、最終的な判断は税務署や税理士に確認してください。

不労所得は、種類によって税金の扱いが違う

ひとくちに不労所得と言っても、税金の上では別々の所得として扱われます。この記事で取り上げる3つは、次のように分かれます。

収入所得の種類ポイント
株の売却益上場株式等に係る譲渡所得等ほかの所得と分けて計算する申告分離課税。税率は20%(所得税15%、住民税5%)に、復興特別所得税が加わる
株の配当配当所得総合課税、申告分離課税、申告不要の3つから選べる(上場株式の場合)
家賃収入不動産所得青色申告にすると特別控除があるが、控除額は貸付けの規模などで変わる

出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税」「No.1330 配当金を受け取ったとき」「No.2072 青色申告特別控除」

会社員は、20万円以下なら申告不要。ただし例外がある

会社員の場合、給与と退職金を除いた所得(株の利益など)の合計が年20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています(出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。

ただし、注意したい点が3つあります。

  • 20万円は、株の売却益だけでなく、給与と退職金を除いたすべての所得を合計して判断します
  • 株の損失を翌年以降に繰り越したい場合は、20万円以下でも申告が必要です
  • ここでいう申告不要は所得税の話です。住民税の扱いは、お住まいの市区町村に確認してください

特定口座「源泉徴収なし」を選んでいた私の場合

証券会社の特定口座には、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があります。「源泉徴収あり」を選ぶと、売却益にかかる税金が取引のたびに差し引かれ、申告不要を選ぶこともできます。ただし、ほかの口座との損益通算や、損失の繰越控除を受ける場合は、確定申告が必要です(出典:国税庁「No.1476 特定口座制度」)。

私は「源泉徴収なし」の特定口座を使い、毎年自分で確定申告をしてきました。証券会社から届く特定口座年間取引報告書をもとに申告できるので、一から損益を計算する必要はありません。それでも、毎年申告すること自体を習慣にしておかないと、次に書く損失の繰越で損をすることになります。

株の損失は繰り越せるが、3年で消える

上場株式の売却で出た損失は、確定申告をすれば、翌年以後3年間にわたって繰り越し、その後の利益と相殺できます。ただし、繰り越すには、その後の年も連続して確定申告を出し続ける必要があります。株を売らなかった年も、損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です(出典:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」)。

私は2011年から2015年にかけて、株で損失を出し続けていました。合計で約300万円です。その損失は毎年申告して繰り越しましたが、前半に出した損失は、3年以内に相殺できるだけの利益が出ず、そのまま期限が来て消えてしまいました。後半の損失は、その後の利益と相殺できました。

繰越は「損をしても税金で取り返せる」仕組みではなく、「3年以内に利益が出れば、その分の税金が軽くなる」仕組みです。期限があることを知っていても、損失が大きすぎれば使い切れません。損失を出した経緯については、自衛隊を退職して気づいたことで詳しく書いています。

配当は、申告方法を選べる

上場株式の配当(大口株主を除く)は、総合課税、申告分離課税、申告不要の3つから選べます(出典:国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき」)。どれを選ぶかで、使える仕組みが変わります。

  • 申告分離課税:株の売却損失と相殺できる。売却損失と損益通算できる配当は、申告分離課税を選んだものに限られる(No.1474)
  • 総合課税:配当控除が使える。配当控除は、申告分離課税や申告不要を選んだ配当には使えない(No.1250 配当控除)
  • 申告不要:受け取るときに差し引かれた税金で完結させる

私は、損失を出していた年は、売却損失と配当を相殺するために申告分離課税を選んでいました。損失がない年は、総合課税を選んでいました。

総合課税を選んだのは、配当控除を使うためです。配当控除の率は、課税総所得金額等が1,000万円以下なら、株の配当の10%です(No.1250)。一方、所得税の税率は、課税所得が330万円から694万9,000円までなら20%です(出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」)。課税所得をこの範囲に抑えていれば、所得税だけで見ると、配当にかかる税率は20%から配当控除の10%を引いた10%程度になり、申告分離課税の所得税15%より低くなります。私が課税所得を695万円未満に抑えていたのは、このためです。

ただし、これは所得税だけの計算です。住民税を含めると有利不利は変わりうるので、実際にどちらを選ぶかは、ご自身の所得で計算するか、税務署や税理士に確認してください。

もう1つ、私が国内株を中心にしていたことにも意味があります。配当控除の対象は、日本国内に本店のある法人からの配当です。投資法人(J-REITなど)からの配当や、一部の投資信託の分配金も対象外とされています(No.1250)。外国株やJ-REITが中心の人は、総合課税を選んでも配当控除は使えません。

不動産の青色申告、65万円控除だと思っていたら10万円だった

不動産投資をしていた2016〜2017年ごろ、私は青色申告をしていました。青色申告なら65万円の控除が受けられると思い込んでいましたが、実際に受けられたのは10万円の控除でした。

理由は、貸付けの規模が小さかったことです。今の制度では、55万円や65万円の青色申告特別控除を受けるには、「不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること」が要件の1つで、これを満たさない場合は10万円の控除になります(No.2072)。不動産の貸付けが事業として扱われるかどうかの目安は、アパートなどなら独立した室数がおおむね10室以上、一戸建てならおおむね5棟以上とされています(出典:国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」)。

私が持っていたのは中古ワンルームの1室だけだったので、この目安にはまったく届いていませんでした。不動産投資そのものの失敗については、不労所得のおすすめの選び方の記事で書いています。

なお、令和8年度税制改正大綱には、青色申告特別控除の見直し(最高控除額を75万円とすることなど)が盛り込まれています(出典:税のしるべ電子版)。適用される年や要件は、申告する前に国税庁の最新の情報で確認してください。

よくある質問

Q
会社員で、株の利益が少しだけです。確定申告は必要ですか?
A

給与と退職金を除いた所得(株の利益など)の合計が年20万円以下なら、所得税の確定申告は不要とされています。ただし、株の損失を繰り越したい場合は申告が必要です。住民税の扱いは、お住まいの市区町村に確認してください。

Q
特定口座は「源泉徴収あり」と「なし」のどちらにすればいいですか?
A

どちらが合うかは人によります。「源泉徴収あり」は、取引のたびに税金が差し引かれ、確定申告をしないことも選べます。「源泉徴収なし」は、証券会社から届く年間取引報告書をもとに、自分で申告します。ほかの口座との損益通算や損失の繰越をするなら、どちらの口座でも確定申告が必要です。私は「源泉徴収なし」を選び、毎年自分で申告していました。

Q
株で損をした年も、確定申告した方がいいですか?
A

損失を翌年以降の利益と相殺したいなら、申告が必要です。上場株式の損失は翌年以後3年間繰り越せますが、その間は株を売らなかった年も含めて、連続して申告を続ける必要があります。私は毎年申告していましたが、それでも前半の損失は3年以内に使い切れず、期限が来て消えました。

Q
配当は、総合課税と申告分離課税のどちらが得ですか?
A

所得や状況によって変わるので、一概には言えません。株の売却損失と相殺したい年は申告分離課税、配当控除を使いたい場合は総合課税、という考え方があります。私は、損失の年は申告分離課税、それ以外の年は国内株中心で課税所得を695万円未満に抑えていたので総合課税を選んでいました。住民税も含めて判断が必要なので、迷う場合は税務署や税理士に確認してください。

Q
外国株やJ-REITの配当にも、配当控除は使えますか?
A

使えません。配当控除の対象は、日本国内に本店のある法人からの配当です。投資法人(J-REITなど)からの配当や、一部の投資信託の分配金も対象外とされています。また、申告分離課税や申告不要を選んだ配当にも使えません。

Q
ワンルーム1室でも、青色申告の65万円控除は受けられますか?
A

今の制度では、55万円や65万円の控除には、不動産所得などを生ずべき「事業」を営んでいることが要件の1つです。不動産の貸付けが事業として扱われる目安は、アパートなどならおおむね10室以上、一戸建てならおおむね5棟以上です。私はワンルーム1室だったため、控除は10万円でした。

まとめ

不労所得の確定申告で、私が損をしたのは、手続きが難しかったからではありません。損失の繰越に3年の期限があること、青色申告の控除額が規模で変わることを、始める前に確かめていなかったからです。反対に、配当の申告方法は、仕組みを知ってから選ぶようにしたことで、無駄な税金を減らせました。

お金を増やす方法を考えるときは、どれだけ入ってくるかだけでなく、税金としてどれだけ出ていくかも一緒に見ておく必要があります。税金は、資産から入ってくるお金を目減りさせる、見落としやすい出口です。

入ってくるお金と出ていくお金をどう見分けるかは、不労所得の作り方の記事で、資産と負債の考え方として書いています。